「正しい」と思うことを調査したり、報道したりするだけでは多くの人々に届きません。
つまりパワーにならないのです。
優秀な人間のたゆまぬ努力と「悪人」の必死な努力と
おススメしか見ようとしない多くの人々によって社会は形成されているような気がします。
便利や合理的、コスパやお気に入りから離れてみることも
多様性のために必要ではないでしょうか。
「カメラを止めるな」は面白いからだけでヒットしたわけじゃない
2018年に300万円の製作費で1000倍の30億円以上の興行収入を叩き出した映画、
通称「カメ止め」のドキュメンタリーでは、面白さを届けようと
やれることは全てやったという一人のスタッフの奮闘が描かれていました。
その面白さは出色で私もかなり周りに勧めました。
2019年6月に映画「主戦場」で衝撃を受けた私は
「カメ止め」現象を起こさなければならないと思いました。
心ある人々が絶賛しつつ、上映中止を心配していたので、
慰安婦問題には辟易していましたが観ました。
あまりの衝撃と感動を周りに伝え、元全労連事務局長・議長の坂内三夫氏にも
観ましたかと聞いたのですが、反応はありませんでした。
「主戦場」を大ヒットさせられなかった理由は
「高度な資本主義の特別な困難」は優秀な人間のたゆまぬ努力と
「悪人」の必死な努力によるものだということがよくわかり、反省させられました。
安倍政権を支えた「日本会議」の正体がわかる秀作です。
家永裁判から40年以上教科書問題を見てきましたが、
最初は「新しい教科書を作る会」とか「自虐史観」はトンデモ本扱いでしたが、
今や状況は逆転していると言ってもいいほどです。
見たいものしか見られないレコメンドの怖さ
宮台真司氏のいう「見たいものしか見ない」から
「観たい」という意思が無くても次々に関連動画が再生されるYouTubeには恐ろしささえ感じます。
アマゾンが「おすすめ商品」を示してくれるのは便利だと思った、
Googleがターゲットを定めて広告を表示するのも当初は便利だと思いました。
しかし、今やニュースを含む情報の全てが「おすすめ」の顔をして
興味のある分野、同じ論調のものを次々と提示してくれる、
つまり「嘘も百回言えば真実になる」が、発信者が言わずとも
勝手にどんどん偏った情報を吸収してくれるのです。
だからリベラル陣営ももっともっとネット社会に通じ、適応する必要があると切実に思います。
理想を言えば、民主主義の成熟のためには「お好みではないだろう」商品や論調を
何パーセントかは盛り込むように設計してほしいものです。
その変数自体が大論争になるでしょうが、意味ある論争だと思うのです。
読書人がリアル書店を愛し、大切にする理由
読書人はリアル書店を愛し、大切にしています。
それは自分の思考を広げる面白さがあるからで、
武田砂鉄氏がブックオフを愛する理由に通じるのではないかと思います。
曰く
「何もかも、自分で意味を作っていくことになるのである。
今、そういう体験をさせてくれるところって少ない。
ここはこういう意味ですよ、ここのオススメはこれですよ、と伝えてくる。
買い物をする上で、間違わないように、戸惑わないようになっている。
でも、ここでは、間違いを犯す。
たくさん戸惑う。
自分と店の波長次第で買うべきものが変わる。
(略)店を出るまでには、無数の選択肢が待ち構えている。
そして、その選択肢を自分なりに手繰り寄せなければならない。」