教科書で習った「高度成長期」や「三種の神器」に憧れた生活を想像すると
令和を生きる皆さんには信じがたいでしょうが、
「女性に身の回りの世話をしてもらうために結婚する」
と言ってはばからない時代がありました。
教科書で「高度成長期」や三種の神器を習ったと思います。
1960年代はテレビ、冷蔵庫、洗濯機が三種の神器で
それらを購入することが目標、憧れの時代でした。
ということは、これらが無かった生活を想像してみてください。
男女の役割分担を性別による特性によるものだと
理屈を言う50代以上は近現代史の勉強が足りません。
高度経済成長期に都会で働くサラリーマンが大量に必要になり
その後方支援(15年ほど前に終わった戦争の銃後と同様)として
専業主婦が登場しました。
それ以前は農業、漁業、商店などで夫婦や家族が協力して
仕事と家庭を営むことが当たり前でした。
だから、現在の50代以上の中学高校時代は、
女子は家庭科、男子は技術と別々の科目を受けていました。
そうした時代を反映し、未だに古い考えを変えられない上司層を、
ワークライフバランスなどを研究している渥美由喜氏(東レ経営研究所)は
「粘土層」と名付けています。
なかなかユーモアのある言葉です。
1993年頃より家庭科の男女共修時代を過ごした世代が40代になり、
身辺自立した男性が増えたことは喜ばしいことです。
コンビニ、家電、中食の発達による寄与も大きいです。
かつては「家事の社会化」によって
女性を家事から解放しようなどとも言われました。
昭和脳の「粘土層」に次のような考えを語り、教育して行きましょう。
生産性の上げ方、人材育成、雇用を考えれば仕事観のアップデートが必要
生活を大切にしたい、育児にも積極的に関わりたい
という若い従業員が増えている現在、
マネジメント力で忠誠心や仕事の満足度を高め、
業務の見直しによって職場全体の生産性を上げることが求められているのです。
大和証券会社で、経営者が先頭に立ち、残業は19時までと決めたのは10年以上前です。
当初は従業員の側で「とうてい無理」と抵抗がありましたが、
いざ実施してみると可能でした。
仕事の効率が上がり、なにも19時まで残業する必要はないとなり、
さらに退社時間が早まって、定時退社に近づいているのです。
そうした実践や経験があって「働き方改革」が表舞台に登場しました。
中小企業は無理、ではなく、中小ほど切実な良い人材の確保と雇用継続
残念ながら未だに、中小企業の経営者の中には、
女性が出産後に働き続けることをまったく想定していない人もまだ多いのも現状です。
そうした方々には、まず産前産後休暇と育児休業の区別、
それぞれの法的根拠からお話ししなくてはなりません。
そのような職場風土では、
働き続けたいと意思表示すること自体ハードルが高く、
諦めている女性が多いのです。
法律的に最低限の労働条件さえまだ定着していない職場もあります。
しかし、新規採用・新人教育のコストがいかにかかるか、
社内で初めて育児休業取得者が出た場合に助成金が支給される制度があることなどをお話すると、
大変よく理解してくださる経営者が多いのも事実です。
優秀な人材の継続就労が業績に直結していることは、
中小企業であるほど切実に感じているからです。
家事・育児はマルチタスク、経験者ほど仕事の能力もアップします
経営陣のみなさんに、外部環境が厳しいときに依拠すべきは
社員自らの意欲、創意工夫、大胆な発想であることを忘れないで欲しいと思います。
不況のときに社員を大切にする企業には
良い人材が集まり、それを発展する好機と捉えて欲しいのです。
ちなみに、マルチタスクが要求される家事・育児に積極的に関わっている男性は、
仕事ができるというのが定評となっています。
出産後に職場復帰した女性社員が、
子どもの保育園への迎えに間に合うように集中して仕事をする中で
業務効率が上がり、周りに良い影響を与えます。」
だから男性も同様なのです。
自分が計画したようには進まない育児をしながら
家事をする難しさを経験すると、仕事をするときにも
柔軟性が発揮され、危機管理もでき、並行処理が得意になるなど、
高い能力が身につくのです。