「空から降る一億の星」は記憶以上の名作と教えられた再放送

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2023年3月下旬から(地方により多少のずれ)の再放送を見始めて2002年当時の興奮を思い出しました。

最終回までみると、完璧な脚本と主演のお三方(明石家さんま、木村拓哉、深津絵里)の演技には凄みさえ感じました。

正直オンタイムの時には最終回にモヤモヤがあったのですが、私の観る目がなかったのだと反省しました。

脚本が完璧な「空から降る一億の星」

練りに練られたストーリー、伏線というより後になると必然性がわかり、無駄のなさに驚きます。

超多忙な出演者など様々な制約のある中で、まさにジグソーパズルのようにぴったりとはまる脚本を書かれた北川悦吏子さんはこの時既にヒットメーカーから名人の域に達していられたのですね。

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多くの恋愛ドラマは主人公の二人にいろいろあって、ラストどうなるかが本筋でしょう。

ところが「空降る」ミステリーと家族の物語も本筋が少なくとも三つあります。

それがどう繋がるのかはジグソーパズルと同じように最初はまったく想像がつきません。

恋愛関係もミステリーとしても追う側と追われる側が鏡のように入れ替わる多面性があります。

毎回ラストが衝撃的で次週が待ち遠しかったあの頃を思い出しました。

もう一度観るために録画はしたけれど、オンタイム視聴がデフォルトでした。
(今ではそのお宝ビデオテープも探して、デッキに繋いでとみるのが億劫に😅)

前週のラストを受けた冒頭も素敵で一気に作品世界に引き込まれる演出は音楽の使い方含めて、今観ても洗練されている…最近の歌詞から入る効果(silent筆頭に)もグッとくるけれど。

アップが多く、カメラワークも新鮮に感じました。

明石家さんまと木村拓哉W主演+深津絵里

主演三人の魅力は言うまでもありません。

脚本と演技によるあまりのカタストロフィに、当時は理解が追いつかなかったのかもしれません。

煙草を湖に投げるのは「ドライマイカー」を思い出しました。
もしや濱口竜介監督がオマージュ?ネタバレになるので書きませんが、確かめてほしいな。

演出の素晴らしさは、木村拓哉さんの朗読が二箇所あるのですが、それぞれに効果的で驚きました。

また、口(台詞)は優しく、行動や仕草で冷たい、無関心を表現するキムタクにはゾクゾクします。

受け取ったプレゼントを即、無造作にガードレールにかけて(捨てて)立ち去るとか。

2002年のドラマ界、ネットの状況はこんなでした

木村拓哉さん初のダークな役柄と言われていました。

「眠れる森」も前半は謎の多い役柄でしたが、「空降る」で影のあるカッコよさを確立した気がします。

明石家さんまさんは「男女七人夏・冬物語」のカッコよさ(ほんとよ~)に渋さが加わって痺れたのは、キムタクとの絡み場面以上に一人佇んだり、考え込むシーン。おしゃべり怪獣の真逆をみることができます。

私が視た中では、お二人にとってキャリア一番の演技かと思うほどです。

北川悦吏子さんはSNSの反響を恐れて、若手が書きにくい世の中になった旨ツイートしていらっしゃいます。

「空から降る一億の星」が放送された2002年にはSNSは無かったと思います。
(mixi のローンチは2004年)

「空降る」には公式掲示板があり、私が掲示板に書き込みをしたのはここが初めてでした。

ミステリーなので考察したり、感想を書いたりしましたが「荒れる」ことはありませんでした。

放映終了後しばらくして、閉じられる仕組みだったので今はもう見ることができませんが、何となくどんなものだったか、今また見てみたい気がします。

「シン・ウルトラマン」を撮った樋口監督が落合陽一さんとの対談で「ネットは徳を積んだ人だけが書き込めるようにならないものか」とぼやいていました。

ちなみにシンウルは庵野秀明氏の大ファンとしては残念でなりませんでしたが。

優れたドラマの出演者は大出世の例

木村拓哉さんとの共演だけでもロンバケから教場に至るまで、他にも超人気ドラマではあることですが、あらためて驚きのキャスティングです。

井川遥さんは当時大人気で、彼女のスケジュールの都合で顔合わせが午前中に行われたと後にさんまさんが暴露するほどの多忙ぶりでした。

松尾諭さんが自伝的ドラマ「拾われた男」の中で井川遥さんの運転手だったことが描かれていますが、実際はもっとずっと夢のような幸運と忙しさで興奮していたはずです。
罠の戦争での草彅剛夫人と合わせてみるとなんて知的な芯のある女性になられたかと…斎藤工さんと共演の「ガラスの家」(2013年)や「持続可能な恋ですか」(2022年)などステキでした。

柴咲コウさんは「空降る」では原石感が残っていて、その後木村拓哉さんの恋人役「グッドラック」から大河ドラマ「おんな城主直虎」主演まで務めるまでになられるとは!

八嶋智人さんは「古畑任三郎」の奇妙な役柄での強烈な印象と「トリビアの泉」の司会の方でした。

誠実な良い人役は普の人柄か役柄(演技技術)なのかわからない曲者感と違い新鮮です。

森下愛子さんは役柄同様、とてもチャーミングな方です。

名作「サード」で注目され、吉田拓郎さんの三番目の妻(1人目は六文銭のおけいさんこと四角佳子さん、2人めは名曲「旅の宿」のモデルとされる浅田美代子さんで、森下さん曰く前のお二人のお陰で丸くなってとても楽とカッコいいコメントも)という同世代としては憧れの女優さんでした。

大澄賢也さんも話題を振りまいた方でしたが、乗り越えたころだったでしょうか。

ドラマの中の最初の事件で取り調べを受けたのが村田充さんだったことを発見、神田沙也加さんとの結婚・離婚とその後は知る由もなく…。

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歳を取ると昔のドラマから俳優さんはじめ、脚本家やスタッフ(社長にまでなった亀山千広さんなど)の人生に思いを馳せることができます。

良くも悪くも「今」だけが人生じゃないとしみじみ。

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