子育てを実家(祖父母)に頼りすぎたワーママ、共働き家庭の失敗と再生

夫婦

ワーママやワンオペ育児に疲れているママにとって頼りになるのは実の母親です。

予期できない子どもの病気や急なお迎えなど、無理を言いやすいのはなんといっても実家です。

実母にピンチヒッターを頼むことはあっても、
当たり前に思ったり依存し過ぎると家族関係に後悔を残すことになります。

第一に頼るべきはパパである夫であることを忘れませんように。

実家は「生育家族」 夫とともに創っていく「創造家族」を大切に


帰省などで実家に帰ると「実家は天国」だと思う方が多くいます。

自分が育った、育ててくれた家族、つまり実家は「生育家族」です。

最近は安らぎとは遠かった成育家族について、
小説やエッセイ、ルポをはじめ報道でも見かけますが
それでも「夫の実家よりは…」とか、家族を創っていくことの難しさに比べると
良い思い出や「楽な」「居心地のいい」場所である方が多いのではないでしょうか。


「創造家族」とは自分が創っていく家族
パートナーと出会い、子どもを産み育てていくところです。

シングルマザー・ファーザー、ステップファミリーでも自分が選んで創った家族のことです。

成育家族に甘えず、創造家族を夫婦で築く努力が大切

創造家族を築くことの難しさ、忙しさから成育家族に甘えすぎると
パートナー、多くの場合夫が父親として居場所を失うということは
さらなる困難を招くことになりがちです。

ワーママ・パパの応援やワークライフバランスについての講演をまとめた拙著が創造家族を築くための一助になれば幸いです。

現代の「マスオさん状態」には危うさが


C子は中学校の教師をしています。

結婚し、子どもが産まれると、
職場に近いマンションで自分の両親と同居し、
仕事と子育ての両立に万全の態勢
を整えました。

長女が離乳食期だったころに訪ねたことがありますが、
離乳食を食べさせるのもお祖母ちゃんでした。

母親であるC子はまだ抱っこも頼りないありさまで、
実母まかせの様子がよく表われていました。

やがて長男も誕生し、両親と夫婦に子ども二人、六人家族がスタートしました。


しかし、ほどなく夫がうつ病になります。

ワークライフバランスなど考える必要のない夫の過重労働が主たる原因

すると、最初は良好だった夫と両親の仲もぎくしゃくし、
子育てに積極的に関わる必要のない夫は家庭の中で孤立し
自殺未遂と休職を繰り返しました。


さらに、親が父・母として機能していない家庭で育った長女は
中学で不登校、摂食障害となり、
長男も神経症から学業不振におちいりました。

夫と子ども二人ともが心に病を抱えてしまったのは、
この子たちの場合生まれ持った気質もあるかもしれませんが、
家族のあり方、とりわけ両親である夫婦のあり方と無縁とは思えません。

C子家族は、祖父母が同居し家事を担ってくれていたために、
精神的に家族がバラバラになっても生活は保たれていることがあだとなり、
かえって一人ひとりの立ち直りを遅らせた
のではないでしょうか。

とりわけ男性にとって、
父親や夫の役割を果たさなくてもすむ、
家族内での居場所のなさは問題です。
(帰宅恐怖症などの原因になります)

うつ病の直接の原因は仕事にあったとしても、
それをこじらせたのは家庭かもしれません。

C子の夫は、酔っては意味不明の電話を旧友たちにかけ続けていました。

一方で、C子は、同居の両親が防波堤になってくれているのでしょうか、
夫と向き合い、格闘した素振りも見せず、
家庭内の問題を誰かに打ち明けることもありません。

仕事こそ順調なようでしたが、子育て後には仕事でも大きな問題が生じました。

彼女は老親二人と心の病のために社会的に自立できない三人の成人を抱え
そうまでして自分を捧げた仕事でも、というのは昭和おじさんの末路のようでさえあります。


実の親に頼りすぎると、日々の暮らしは成り立つので
つい問題を先送りにし、結果として悪化させる要因となってしまいます。

暮らしや家庭の基本はあくまで夫婦で築いていくものです。

その過程では、相手にも自分にも腹が立ち、喧嘩をし、
一度や二度は離婚だって考えます。

解決するのは当事者である自分にしかできないことですが、
時に葛藤や愚痴を友人たちに聞いてもらうことで、
ずいぶんと救われ、折り合いをつけることもできます。

義母へ預けるしかなかった場合は文句も言えずに恨みが募り


夫の家族と同居し子育てを義母に丸投げせざるをえず、
高校生の息子が不登校になったり、
親が学校に呼び出されたりして、退職さえ考えたH子の例です。

H子は、義母の子育ての仕方を恨んでいました。

義母に子育てを依存している以上、
それが間違っていると感じても、
義母の息子である夫と率直に話し合うことは難しかったようです。


彼女は、私よりほぼひと世代上ですから、
女性が子どもをもうけても働き続けたパイオニアです。

保育所を増やす運動をしながら働き、
雇用機会均等法ができる礎を作ってくれた世代ともいえます。

全国紙四つすべての人物紹介欄に掲載されるほど活躍し
ワーキングウーマンとしては昇り詰めました。

しかし、子育てにおいては、うまくいかなかったのです。

ひとつだけ確かなことは、社会や時代の制約が今よりずーっと厳しかったということです。

こうした中で奮闘した先輩女性たちがいたからこそ、今の女性の社会進出があるのです。


今、あるいはこれから仕事と子育ての両立を目指す皆さんには、
夫婦で協力しながら健やかな子育てをするべく、心がけて欲しく思います。

夫と共に悩み、学び、自分たちを見つめ直し再生


息子の学校のPTA会報に、
夫のうつ病と三人子どものうち二人の不登校を乗り越えた母親の手記がありました。

この夫婦は共に悩み、学び、自分たちを見つめ直すうちに、
原因が子どもたちにあるのではなく、
親である自分たちの中にあったと気付いたそうです。

子どもへの接し方を方針転換すると、
三年ほどで家族が立ち直っていったのです。

手記には、その姿が赤裸々に語られていましたが、
親であること、夫婦であることの難しさ、責任、喜びに感動しました。

「家族」は親子、夫婦であっても、別々の人格です。

家族であることに甘えず、馴れず、
同時に信頼しあって、日々の会話を大切にし、
時には真剣に話し合うことも必要であると学びました。

昔のおおらかな子育てと違い、
現代は夫婦が向き合い、葛藤と闘いながら
一緒に子育てをしなければならない状況にあります。

そうでないとこの複雑な社会に無事子どもを育て上げることはできません。

共働き、片働きに関わらず、
夫婦だけで子育てはできないものです。

むしろ、多くの人の手や知恵を借りたほうが良いでしょう。


しかし、誰かに依存してはいけないのです。

多くの女性にとっては実の母親の存在は甘い誘惑ですが、
そこは踏ん張りどころです。

子育てにおいて協力すべきは夫であることを肝に銘じてください。

とりわけ今どきの若いお母さんは「友だち母娘」として育っているので、
最大の理解者、援助者である実母と一定の距離を保つことは
努力のいることかもしれません。

頼るべきは夫であり、ラクに流れて良い結果が生まれることは決してありません。


夫の側が「妻が実家に頼り過ぎ」と寂しく感じている場合も多くあります。

妻の側からすれば、いや、しかし、そもそも夫が‼(頼りにならない)と思ってのことでしょう。

夫婦の気持ちの溝を埋めるために、下記の記事が参考になれば幸いです。

夫育て
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