「六人の嘘つきな大学生」というタイトルや帯を読ん
で就活生や若者向けだと素通りしたらもったいない本です。
経験を積んだ大人が共感したり、反感を感じたりしながらも
先が気になってグイグイと読み進めずにはいられません。
そして、意外な、想像もしなかった読後感が待っています。
本の世界に心遊ばせたい方にぴったりのさすが本屋大賞ノミネート作。
尊敬し合う6人が実はクズだった?
読み始めに気に入ったのは、グループディスカッションに残った6人の優秀っぽさ。
今どきの就活ってこんな感じ?と志望する企業ともども憧れてしまう感じでした。
その後のクズっぷりが実際にありそうな設定で納得させられます。
作者に騙されっぱなしの299ページ
「伏線」を見破れとか、
登場人物間の「究極の心理戦」というよりも、
私は読者として作者に騙されっぱなしでした。
「えーっ」と、驚き前のページに戻って読み直しを何回したことか。
貴方はどこで、何度、騙された?と本を捲りながら語り合いたくなります。
全く難しさはなく、さらっと、コロッと騙されるのは快感にさえなりました。
たった一つの「、」だけで物語を反転させるとか神!
ネタバレせずに本書の魅力を語るのは難しいことです。
お勧めしたいのは、
人間や社会の醜さ、汚さに絶望している方や
就活生や新社会人として自信を無くしている人々
が思いっきり共感出来て、カタルシスに浸れます。
そして、また頑張ってみようかな、とあったたかい気持ちになれる作品でした。
心身が疲れていても読める魅力
謎に満ちたストーリーに惹かれることはもちろんですが、
会話やインタビューシーンが多いのでとても読みやすいのも、
疲れた心にはありがたいことです。
小説や活字が苦手でもグイグイ読まずにはいられません。
ポチップ