親の 介護…その時困らないための準備は男性陣の身辺自立が必須

ワークライフバランス
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親(祖父母)はいつまでも元気ではありません。

少子化と晩婚化と高齢化により、親の看病・介護とともに、
我が子の育児と家事全般がのしかかるという「ダブルケア」が珍しくなくなっています。

普段の生活は親に頼っていなくても、
家事・育児を妻に依存している男性の親が倒れたとき、
その看病・介護をまさか、妻に任せるつもりではないでしょう?

「高齢者への虐待、息子4割、夫2割」になる理由は家事の不慣れも理由に

令和元年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に
基づく対応状況等に関する調査結果によると

虐待を行った養護者(虐待者)の状況は
「虐待者のみと同居」が 8,792 人(50.5%)で最も多く、
「虐待者及び他家族と同居」の 6,258 人(35.9%)と合わせると
15,050 人(86.4%)の被虐待高齢者が虐待者と同居していました。


被虐待高齢者から見た虐待者の続柄は、
「息子」が 7,409 人(40.2%)で最も多く、
次いで「夫」が 3,930 人(21.3%)、
「娘」が 3,280 人(17.8%)です。

厚労省は
「男性の中には、家事に不慣れだったり、仕事との両立に悩んだりして虐待につながる場合がある」
と分析しています。

半世紀前は主に介護する人の大半は女性でした。

徐々に男性が増え、要介護者との続き柄を見ても、
半世紀前は子の配偶者である「嫁」が半数を占めていました。

これは、世帯構造が大きく変化したこと、妻の意識の変化に起因するものと考えられています。

女性が男性に求めなければならないのは、
男性自身の親や配偶者である妻の看病・介護をする覚悟と技量です。

まずは家事などの身辺自立ができていなければ、
男性は役に立つどころか足手まといになってしまいます。

数年後に迫る大介護時代に慌てないように男性の身辺自立は必須項目

団塊の世代が75歳を超える2023年頃には、介護が社会的な大問題となってきます。

日本では、介護が必要なお年寄りの8割以上が在宅で、
家族といっしょか、あるいは一人で暮らしています。

在宅介護には、期間の長期化、介護者と介護される側双方の
高齢化・重度化という新たな問題が生じています。

そして、介護される本人もその家族も深い葛藤の中に置かれています。

とりわけ男性介護者による不幸な事件……
高齢者虐待や介護心中、介護殺人など……はその顕著な例といえるでしょう。

十年後、親の介護問題に直面するのは、
社会の中で重要なポジションを占めるようになった団塊ジュニア世代です。

働き盛りの男性社員までもが、ある日突然介護問題に直面するのです。

これは育児以上に大変な問題です。

というのも、結婚や出産は自分たちの意志で行い、
その延長線上に育児休業があるので、開始時期もほぼ予測できます。

育児は何か月後、何年後にはどうなっているのか、
見通しを立てることができるのです。

しかし、介護はある日突然、自分の意志とは無関係に始まり、いつどう終わるのかわかりません。

配偶者や子どもを持つことは自分自身の意志で選択できますが、
誰にも親は二人ずつと決まっています。


増えつつある団塊ジュニア世代の未婚男性が
介護を担うことを想像すると、これは職場マネジメントとしての重要な課題ともいえるでしょう。


私は、介護休業取得者が増える前に、男性も育児休業を取得することは、
貴重なシミュレーションの機会として有効だと言いたいのです。

まず、予定の立てられる育児休業から始めましょう。

これをスムーズに取ることができる職場環境を創り上げることこそ
少子高齢化社会における介護問題の解決にもつながると考えています。

3人に1人以上は家族に対して物理的・時間的にかなり重い責任を負っている

2020年の障害者数の概数は、
身体障害者(身体障害児を含む)436万人、
知的障害者(知的障害児を含む)109万4千人、
精神障害者419万3千人となっています。

これを人口千人当たりの人数でみると、
身体障害者は34人、知的障害者は9人、精神障害者は33人となります。
複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、
国民のおよそ7.6%が何らかの障害を有していることになります。

日本には130万人の入院患者と71万人の通院患者(2019年)
身体・精神・知的障害者合わせて965万人(2020年)

2020年の要介護者657.4万人は
2040年には956.7万人でピークを迎え、
今後20年では約5割(45.5% )の増加が見込まれます。

手のかかる0歳~9歳までの人口は986.6万(2019年)


2800万人以上が何らかの形で家族からの助けを必要としています。

2020年1月1日時点の日本の生産年齢人口は7612万2894人で、
2015年に比べて278万6526人(3.53%)減少しました。 

単純計算では3人に1人以上は
家族に対して物理的・時間的にかなり重い責任を負っていることになります。

収入を得るための仕事だけに没頭できる、
これからも仕事さえしていれば済むという人はどれだけいるのでしょうか

人生というハイウエイでは、追い越し車線だけをひたすら走り続けることはできない(村上春樹)


「人生というハイウエイでは、追い越し車線だけをひたすら走り続けることはできない」
とは作家の村上春樹氏の言葉です。

子育てや看病・介護など家族への責任も時々に果たしながら、
収入を得るためや生きがいとなる仕事をするというのが、
「本当の」人生ではないでしょうか。

私への人事・労務管理の相談の中には、育休から復職した女性が
上司から「あなたはもう半人前だから」と言われた、
あるいは「配慮」の名のもとに不本意な配転をされたという訴えがあります。

リーマンショック以降、「派遣切り」という言葉が有名になりましたが、
同時に、違法である「育休切り」も少なくありませんでした。

子育てを経験している人の時間管理能力やコミュニケーション能力、
そして何より人間力を企業はもっと活用するべきだと思います。

わたしは、「仕事」しかしていない人こそ人間として半人前だと思っています。

かつて従軍経験のある大企業のトップが、
「軍隊においては身の回りや食事を自分で行うのが一人前の兵士だ、
軍隊に乳母や母親はいないのだから」と語っていましたが、
我が意を得たりと思いました。

これは現代の日常生活にもいえるのではないでしょうか。

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