在宅ワークストレス、ワンオペ育児、夫の帰宅恐怖症の根は一つ

ワークライフバランス
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「夫在宅ストレス症候群」は
夫の定年を機というケースが多かったのですが、
在宅ワークが突然増えたために夫が在宅することへのストレスは
全ての年代の問題になりました。

一方で妻は「ワンオペ育児」で疲弊し、
家庭に居場所がないと「帰宅恐怖症」に陥る夫もいます。

これら全ての根っこは一緒です。

解決策するは夫婦役割分担を見直すことにあります。

子どもが乳幼児期に夫が一緒に家事・育児に参加してくれたか否か分岐点

 

朝七時に家を出て帰宅するのは毎晩十一時、
十六時間も家を空けることになっている夫は「セブンイレブン亭主」と言われます。

そうした男性は、待っている家族、
とりわけ子育て中の妻や父親を待つ子どもの気持ちに思い至らないのでしょうか。

帰りが遅いのが当たり前になると、
待ってももらえなくなり、自分自身の居場所がなくなるというと
待っているのは家族でなく、帰宅恐怖症です。

その間、乳幼児を子育て中の専業主婦は、
狭い家から自由に出ることもままならず、
大人と話すことが少ない場合も少なくありません。

まさに「孤育て」といえる状況のなか、育児ノイローゼ気味になってしまうのもうなずけます。

「ワンオペ育児」という言葉がすっかり定着してしまいました。

そこに、働き方改革で定時退社をするようになった夫は
家庭に居場所がなくフラリーマン、さらに帰宅恐怖症に陥る場合もあります。

さらに、2020年に突然始まった在宅ワークの隆盛は
家族のストレスになっている場合もあります。

長時間労働や長時間通勤から解放されて
家族といる時間が増えたことを喜ばれ
コミュニケーションが深まってよかったという家族もたくさんいます。

この吉と出るか、ストレスになるかは
それまでの行いや、考え方に起因するのです。

図をみてください。

夫への愛情曲線は、出産直後を境に回復組と低迷組に二極化します。
 渥美由喜 氏による(東レ経営研究所)

この二極化は
「子どもが乳幼児期に夫が一緒に家事・育児に参加してくれたか否か」によります。

子育てに最も手がかかる時期を、ひとりで必死に乗り切った妻。

やがて愛情曲線(図)は下がり、
子どもが小学生になるころにはもう夫を当てにしなくなってしまいます。

いつも居ない夫への愚痴もたまり、
子どもの前でもつい出てしまい、父親の権威を失墜させています。

それを聞きながら育った子どもと母親は不自然に密接な関係を築いていきます。


夫への幻滅が子どもへの過剰な期待と転化し、
過保護、過干渉によって子どもの健全な育ちを阻害してしまいます。

子どももマザコン程度で済めばまだ良く、
通常は親離れしつつ獲得していく社会性が育たなければ
不登校、引きこもり、家庭内暴力、ニートの原因にもなってしまいます。

子どもは健全に育てばやがて思春期に入り、母親の手には負えない時期がきます。

こうなってから「あなた、なんとかしてちょうだい」
と言われても、父親としてはなすすべがありません

そんな時だけ無理に父親ぶっても、子どもの心に届くことはありません。

激しい反発ならまだしも、無視されるのがおちでしょう。

子どもは、身の回りの世話をしてくれる母親とは、
時期が来ればそれなりに安定した関係を築けるでしょう。

しかし、父親の居場所は失われたままです。

夫としても父親としても頼りにされず、
家庭の中に居場所のない男性は、会社がホームグラウンド、家はアウェイ状態です。


それでも職場で必要とされて、
仕事が忙しいうちはなんとか現実を直視せずにすみますが、
そんな人に限って仕事にも行き詰まりがちになるものです。


そして家には帰りづらくなり、家に帰りたくない気持ちが高じて、
お酒を飲んだり、ギャンブルにはまったりと…。

無理に時間をつぶすフラリーマンになったら立派な帰宅恐怖症予備軍です。

お金がないので公園で時間をつぶしたりするうちに、
本当に自宅に帰れなくなり、
精神疾患と認められて入院加療が必要になります。

それでも会社には病院から通勤する男性も実際に、いるのです。

長時間労働、男女の役割分担を超えて家族の幸せのための仕事に

「家族みんなの幸せのためには」

父親が育児をすることは「男女の役割」を否定することではありません。

父親には父親らしい子育てがあります。

ちょっと荒っぽく見えておおらかな父親の関わりは、
子どもの世界を豊かにしてくれます。

男の子はたくましく、女の子はパパ大好きな娘に育つこと請け合いです。

頼りにされ、家族から好かれている父親は家庭の居心地がとても良く、帰宅恐怖症とは無縁です。


往々にして日本では、仕事はかけがえのない生きがいであり、
自己実現の「手段」を通りこして自己実現そのものになっています。

家族、とりわけ妻は「仕事をする夫」を支える役割を担わされています。

働く女性から「奥さんが欲しい」という声を聞くのも、
日本の特殊な長時間労働や男女の役割分担という困った現状の反映です。

ドイツでは、部下に残業などを伴う忙しい仕事を依頼すると、
異口同音に「家族と相談してから決める」という言葉が返ってくるといいます。

ドイツ人にとっては家族こそがかけがえのないものであり、
仕事はそれを支える「手段」なのです。

一日たった一六分会話が増えれば、夫の月収10万円に相当する妻の可愛さ

また、妻が夫に求めていることがいかにささいななことか、
次の調査が明らかにしています。

夫の月収十万円増加に等しく、妻の満足度が上がる夫の行動とは。
「夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス」山口一男(二〇〇六)

夫の月収一〇万円増加= 

○平日の夫婦の会話時間の一日平均十六分増加

 休日に妻が夫とともに大切に過ごしていると思える生活時間の一日平均五四分増加

 ○夫の育児分担割合三%増加

 ○世帯の預貯金・有価証券額が約一三〇万円増加

月収を一〇万円増やすのは、そう簡単にできることではありません。

世帯の預貯金・有価証券額を一三〇万円増やすことも難しそうです。

でも、夫婦の会話時間を一日当たり一六分増やす、
夫の育児分担割合を今よりも三%増やすのであれば、
なんだかできそうな気がしませんか。

一気に理想の夫になる必要はないのです。少しの努力から始めてみましょう。


妻の満足度を高めることは、結果として夫も幸せになるのです。

妻とともに子育てを楽しみ、
一緒にキッチンに立ちながら様々な話しをするのは、
夫婦にとってかけがえの無いひとときです。夫としても幸せではないでしょうか。


そして、できるだけ夫婦共働き、ダブルインカムを私が勧めるのは
妻側が夫の仕事の大変さへの理解が続くからです。

収入を得るとはけっして易しいことではないということを、
専業主婦の妻もほとんどは独身時代に働いた経験から知っています。

ところが、家に入ってしまうと相手にするのはほぼ子どもだけ、
唯一の夫は「子育てを手伝ってくれない相手」という
不満の対象でしかなくなってしまいます。

ところが、妻も仕事を持っていると、
給料の半分は人間関係と言われるように毎日いろいろな人の間での
意思疎通の難しさに疲れ果てます。

そうすると、愛しあい、好きで選んだパートナーと
分かち合う家事・育児は意思疎通が図りやすく、
ともに作っていく家庭のための作業はとてもラクに感じることができます。


いよいよ子どもの手が離れるときになっても、
共に時間に追われながら子育てをしてきた戦友のような夫とは、
いたいけなかったころ、生意気盛りに手を焼いたころ、
それを乗り越えた経験など、思い出を共有する仲間として、
昔語りをすることができます。

こうして互いにかけがえのない相手となれば、
熟年離婚なんて想像もつかなくなるに違いありません。

「もっと一緒にいたかった」と後悔しないために

最後に、こんな切実な動画をご紹介します。

#もっと一緒にいたかった | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
がむしゃらに働き、家庭をかえりみない…。そんな働き方はもう時代遅れだ。7社の名だたる企業のトップが宣言した「男性育休100%」。パートナーや子供と「#もっと一緒にいたかった」という後悔と誠実に向き合いながら、次世代のビジネスリーダーにその熱い思いと戦略を届ける。

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