仕事と生活の二兎を追うためにワークライフバランスを図る

仕事と生活の二兎を追うワークライフバランス
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 息子が高校一年に在学する2009年度麻布学園PTA会報のテーマは、「二兎」でした。

 下記の拙文が掲載されました。

 WLBについての概略や私の考えをまとめてあるので転載します。 

仕事と生活の二兎を追おう(麻布学園PTA会報より転載)

 

私は、社会保険労務士・ワークライフバランスコンサルタントとして
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス以下WLB)の推進に努めています。
今年のPTA会報のテーマが「二兎」と伺い、まさに仕事と生活の二兎を追うことが、
三兎、四兎と豊かな生活をもたらす
ことを
保護者や生徒の皆さんにお伝えしたくペンを取りました。  

麻布では、高校一年の一学期に「生活総合」の中でWLBについて学びますが
保護者の方々の中にはWLBについての誤解もあるかと思いますので
最初に定義をしておきましょう。

仕事と家庭・育児の両立と狭義に捉えられる方が少なくありません
考え方の出発(ファミリーフレンドリー施策)としてそうした側面があったのは事実です。
それでは職場の中で、ワーキングマザーは退社時刻・休暇の面で優遇されており
未婚女性や男性にしわ寄せがきているという不満になります。

しかし、ワーク・ライフ・バランス施策は
女性の子育て支援に留まらず男性の子育ては勿論
独身既婚男女を問わず介護、自己啓発・学習、趣味や生きがい、地域活動・ボランティア
はやりでいえば婚活に時間を割くことも生活の重要
な柱です。

「お陰様、お互い様、私のときはよろしく」と、お互いの生活の部分を大切にし
許容していくようにするのがWLBです。
ですから、お互い様の精神で子育て中の女性も
周りの老若男女社員から快く迎えられ
子育ての味方になってくれることができるのです。

私たち母親世代には、進んで専業主婦を選択
・仕事を続けたかったがやむなく退職
・必死の思いで仕事と家庭・育児を両立の三者が混在しており
どの立場にもそれぞれの悩みがあります。

しかし、WLBが進めば、専業主婦が家事・育児を一人で背負う孤独から解放され
仕事を続けても過度の負担を負うことがなくなる
しょう。

 また、仕事と生活をフィティ―フィティに
残業などは一切せずに定時退社すること
かつてのマイホームパパを推奨するというのも大きな誤解です。


一日のうち最も長時間を費やし、達成感も成長ももたらしてくれる仕事に対して
生涯定時退社で淡々と仕事をこなすことが豊かな人生をもたらすとは思えません

仕事に集中する時期も必要なことであり
「プロジェクトX」の世界の辛抱や喜びは仕事の醍醐味であると
私自身拙い経験からも思います。

しかし、個人や組織にとっての正念場はあっても
恒常的な残業や、ましてや労働法に違反した働き方、働かせ方は見直さなければなりません。
家族の状況も勘案しながら人生を長いスパンでその時々考え
WLBを図ることが重要
です。
専業主婦だったお母様が新たに就職や起業するときなど
お父様は家事の手を抜くなよと言うよりも
応援の気持ちを込めて家事は任せておけとおっしゃれば
夫婦の絆は間違いなく強くなるでしょう。  

さて、仕事と生活の二兎を追うことが
どのように三匹め、四匹めの兎をもたらすかを
ご子息の将来を念頭に考えてみましょう。

まず第一に仕事人として、マルチタスクが要求される
家事・育児に積極的に関わっている男性は仕事ができるという定評があります。
決して自分が計画したようには進まない育児をしながら家事をする難しさを経験すると
仕事をする上で臨機応変、危機管理、並行処理、などの能力が身につく
からです。

 

第二に、家庭の中で父親としての立場が確立され、威厳が高まります。
我が家では、息子が生後四カ月から八ヶ月になる間の四カ月、夫が育児休業を取得しました。
父親が育児をすることは男女の役割を否定することではなく
父親には父親らしい子育てがあります。
ちょっと乱暴でおおらかな父親の関わりは子どもの世界を豊かにしてくれます。
男の子は逞しく、女の子はパパ大好きな娘に育つこと請け合いです。
頼りにされ、家族から好かれている父親は家庭の居心地がとても良く、帰宅恐怖症とは無縁です

 

第三に、夫としても幸せではないでしょうか。
妻とともに子育てを楽しみ、一緒にキッチンに立ちながら
様々な話しをするのは夫婦にとってかけがえの無いひとときです。
いよいよ子どもの手が離れるときになっても
共に時間に追われながら子育てをしてきた戦友の夫とは
いたいけなかった頃、生意気盛りに手を焼き共に乗り越えた経験など
思い出を共有する仲として、昔語りのかけがえの無い相手
です。
熟年離婚なんて想像もつきません。 

少子高齢化がますます進み、経済的変化の激しい二十一世紀に仕事をし
家族を作っていく息子世代にとって、共働きは大きなリスクヘッジになります。
ダブルインカムならば、スキルアップや転職・起業などへの挑戦もし易い
でしょう。

子育てに協力的な夫や共働き夫婦のほうが子どもの数が多いのは
国立社会保障・人口問題研究所の調査からも明らかになっています。
子育てや家庭運営が母親一人の肩にのしかかったために
育児ノイローゼになる若い母親が増えています。
私の周りでも、職場という別世界や保育所があったから
二人め三人目を産む気になったという声が大きいのです。 

未婚者が増えている今後にとって、とりわけ介護問題は深刻です。
結婚・子育ては選択ができ、育児は計画・見通しが立ちますが
介護問題はいつから、いつまで、どの程度か未知のうえに、誰にも両親は必ずいます。
未婚者の多い団塊ジュニアが介護問題に直面する十数年後には
企業の人事管理上も無視できません。

だからこそ、三割以上ができることならと希望している
男性の育児休業取得を進めることが、より困難な介護休業の
シミュレーションになるのではないでしょうか。

今後も働き続けたい女性は増え続けるでしょうが
WLBの推進でなく、祖父母に子育てを任せる、孫可愛さに請け負ってしまうことは
避けた方がよさそうです。
昨今のお嬢さんたちの母親振りは実に心もとなく感じますが
だからといって決して手を出し過ぎてはいけません。

また、女性の立場からすると実母の手助けは何より嬉しいものですが
息子のパートナーの母親任せにしないことはとりわけ大切
です。
私の周りにも自分の実家に頼り過ぎてきた女性が何人かいますが
結局夫より実家を取ったり、相手が夫として父親として成長できず
仕事にも行き詰まり大変な困難に陥ったりしています。
息子を寂しい男にしないように、母親としてはぐっと身を引き
パートナーと手を携えていい男になっていくのを見守りましょう

さて、お父様。
それでもこの百年に一度といわれる経済危機のなか
今はWLBなどと悠長なことを言っている時期ではないと
お思いの方も少なからずいらっしゃることでしょう。

しかし、生活を大切にしたい、育児にも積極的に関わりたいという
若い部下が増えている現在、マネジメント力で忠誠心や仕事の満足度を高め
業務の見直しによって職場全体の生産性を上げる好機
なのです。

詳しくは内閣府の「カエル!ジャパン」キャンペーンhttp://wwwa.cao.go.jp/wlb/change_jpn/campaign/index.html

厚生労働省の「ワーク・ライフ・バランス推進プロジェクト」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/sigoto-seikatu/

日本生産性本部の「ワーク・ライフ・バランス推進会議」
http://www.jisedai.net/index.php
を検索してみてください。

名だたる組織・企業がWLBを推進していることをご理解いただけると思います。

お母様
仕事を一生懸命されここまでキャリアアップされてきたご主人を
尊敬し感謝しながらも、健康面や二人っきりの老後に一抹の不安はありませんか。

夫の働き方や家庭での過ごし方を変えるのは
妻の愛情溢れる努力を置いて他にありません。
是非、諦めることなく、お二人のバランスのとれたこれからの生活を追求
(くれぐれも追及になさらずに、優しく)なさってください。
実践されている方も多いと思いますが、夫も息子も誉めて育てる、これが極意ですよね。

 と、生意気なことを縷々書かせていただきました。
さぞ息子は生活面での自立ができた男に育てていると思われるでしょう…が
可愛いさゆえに何やかやと世話を焼き過ぎ、今のところろくに料理もしない奴です。
部活と勉強の二兎くらいは追って欲しいものですが。
家事・育児も万能の父に育てられた本人の自覚を信じ
まだ見ぬ息子のパートナーとなる方と共に
WLBを念頭に家庭を築いてくれることを願うばかりです。

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