男性の育休は4月の改正で周知を義務化 2世代続けるほどおすすめ

夫婦

中京テレビのサイトで下記の記事が掲載されています。

28年前に夫が、さらに娘の夫が二度(7年前と昨年)育休を取得しました。

男性の育休取得が二世代にわたった理由について取材を受けた内容です。

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■法律の改正で男性は育休が取りやすくなる?! 

2022年4月に改正される「育児・介護休業法」。

男性が育休を取りやすくなるようにと国が取り組んでいるもので、政府は、男性の育児休業の取得率を2025年に30%にすることを目標にしています。(雇用均等基本調査 厚生労働省より)
これにより、子どもができたパパママに、会社の上司が「育休を取るかどうか」を確認することや、育休取得率を公表することなどが義務化されます。


近年増えている「育児休業を取りたい」という男性。
転職サービス「doda」などを提供する、パーソルキャリア株式会社が2021年に行った調査では、将来育休を取得したいと回答した男性は80.0%。特にZ世代といわれる20歳~24歳では、84.6%と、若い世代で特に、将来育休取得を希望する人が多いことが分かっています。(調査対象:20~59歳 学生以外の男性 555名)

■育休取得率は当時「0.02%」 30年前に育休を取った男性は…

結婚38年の武部信隆さん・純子さん夫婦。夫・信隆さんは普段、高校教師として働いていますが、日本で“育児休業制度”ができた1992年の翌年、育休を取りました。

当時の男性の育休取得率は「0.02%」。今とは違って給与保障もゼロでしたが、それでも育休を取った背景には、妻・純子さんへの思いがありました。

「子どもを授かり産んでくれようとしている人に、仕事上のキャリアに対する不利益をなるべく味わせないためには、僕が(育休を)取るしかないだろうという判断ですかね」(信隆さん)


当時、医療系の労働組合でバリバリ働いていた純子さん。妊娠・出産で、自分だけが仕事を休まなくてはならない“不平等さ”を、結婚当初から信隆さんに訴えていたといいます。

純子さん「妊娠という事柄において、私だけが辛い思いをしなきゃいけないというのが、今、思い出しただけでも泣きそうになる。あの辛かったことが」
信隆さん「まぁ、アンフェアっていうことなんでしょうね」
純子さん「フェアかどうかという問題だよね、私たちにとって、とても大事なのは」


夫の育休を通して、対等な夫婦関係を目指した武部さん夫婦。育休の期間も対等に、まずは純子さんが4か月、その後、信隆さんが4か月育休を取りました。

当時、平日の日中に父親が1人で赤ん坊を抱いているのは珍しかったそうで、 信隆さんは外出を躊躇する日々が続いたといいます。

「子ども抱いて散歩でもできればいいんでしょうけど、そんなことしようもんなら『奥さん出てっちゃったのね』とか『よっぽどひどい旦那なのね』って陰口叩かれるのが関の山かなみたいに勝手に思っちゃっているわけで」(信隆さん)


子育ての苦労を身に染みて感じた信隆さんは、あることに気付きました。

「日中、出かけられない。本当にノイローゼ状態。(妻が)生き生きして帰ってくる。『きょう、こんな仕事したのよ』みたいな、そういう“匂い”で帰ってくる。その匂いを嗅ぐだけで嫌だった。『なんで、俺がこんな思いしているのに』みたいなね」(信隆さん)

1人で子育てしながら夫の帰りを待つ妻の気持ちが、少しだけ分かったといいます。

「だから、男か女かの問題ではなくて、どういう立場にそのときいるのかというので、大きく(感情は)変わってしまうんだなと。対岸に行ってみて、初めて分かりましたね」(信隆さん)

結婚38年を迎えた今も、家事・料理は全て「50:50」。ともに乗り越えたからこそ、信隆さんは、純子さんから“戦友”と呼ばれています。
 

■育休取得から30年後… 

意外なところにも影響が信隆さんの育休取得から約30年が経過。その効果は、思わぬところに及んでいました。

「何よりもお得なのは、パパっ子になってくれているというか。それは非常に思いのほか、効果があったことだと思います」(信隆さん)


長男・正隆さんの結婚式で渡された手紙には、「心からパパのような父親になりたいと思っています」の言葉が。心から父を尊敬しているからこそ、伝えたかった言葉だといいます。

さらに、結婚し2人の子どもを出産した長女・知子さんは、父親が大好きすぎて、結婚後の自宅にも、父と腕を組んだ写真を飾るパパっ子ぶり。

「父とスキンシップを取るのも違和感ないんですけれど、今でも。父親として尊敬している」(知子さん)

子煩悩な父が育休を取る姿を見てきた知子さん。自然な流れで、夫にも育休取得を勧めました。

「『2人で育てたい、育児は』という意識が潜在的にあったので。両親の影響だと思うんですけれど、その方がよいというのが漠然とあったので」(知子さん)


アパレルショップの店長を務めている夫・博之さんは、当初育休には否定的でした。しかし、知子さんのある言葉がきっかけで、会社で第1号の男性育休取得者になったといいます。

「店舗の責任もあると思うんですけれど。あなたは家庭にも責任があるよと言われたことが大きいかなと」(博之さん)

「どんなプレゼントよりも、育休取ってくれたのは最高のプレゼントかもしれない」(知子さん)

男性の育休取得率が「0.02%」だった時代から約30年。
信隆さんに、「育休を取って良かったか」聞いてみると…。

「今の自分があったり、その子どもたちとの関係があるのも、育休取ったおかげだなというのは間違いなく思いますので。本当に今思うと、それこそ『人生の先行投資』でしたよね」(信隆さん)

約30年前に制度ができて国が変わったスウェーデン。そして、まもなく制度が変わる日本。
30年後、誰もがこう思える世の中になってくれたら…「育休は未来への先行投資」。

一方で、現実の取得率は約12%。(2020年度厚生労働省調べ)
希望しているにもかかわらず、取得できない人が多いのが現実です。法律の改正によって、本当に育児休業が取りやすくなるのか…。
調べてみると、制度の改正が“男性の育休取得”に貢献したケースがありました。
 

■男性の育休取得率9割の“スェーデン” 新制度が取得の後押しに

スウェーデン出身のアンドレーさん(35)。

この日は、午後3時半すぎに仕事を終え、4歳の礼央くんと1歳の理久くんを迎えに行きます。
 

自宅へ帰ると、手際よく夕飯を作り始めました。

息子2人を見ながらの料理や家事も、アンドレーさんにとってはいつもの光景です。


午後6時すぎ、夕食が出来上がったころに、妻の絵美さんが帰宅。
「迎えに行ってもらうときは、ご飯(の準備)までがセットっていう感じ」(絵美さん)

共働きのため、アンドレーさんは働き方を変えて家事育児に参加。妻とは、家事も育児も半々で担います。

Q.スウェーデンに、日本でいう“イクメン”という言葉はある?
「ないですね。言葉自体はないですね。逆に、みんなやるのが当たり前」(アンドレーさん)


アンドレーさんの母国スウェーデンは、男性の育休取得率が約90%。今でこそ育休先進国のスウェーデンですが、以前はそうではなかったといいます。

「私のおじいさんとおばあさんは、今の日本みたいな感じですね。基本的に、おばあさんが料理を作ったり家事をしたりするが、おじいさんは何もしていなかった」(アンドレーさん)


そんなスウェーデンが変わるきっかけになったのが、1995年に導入された育休制度「パパ・ママ・クオータ制」。

育休は「夫婦合わせて最大1年6か月」。この中にパパだけ、ママだけが取れる期間がそれぞれ90日ずつ設定されています。育休期間の大半は給料の80%を受け取ることができますが、パパが育休を取らなければ90日分の育休は消滅してしまいます。
この法改正によって、育休を“権利”と感じるようになった男性が増え、育休を取る父親が急増したといいます。


いまや、スウェーデンでは女性が仕事復帰する代わりに男性が1人で育休を取るのも、普通のことだとアンドレーさんは話します。

「スウェーデンではお父さんが1人で子どもの面倒を見ることになっていますから、父親が自分で全部やらないといけない。ご飯作るのは当たり前、家事やるのは当たり前。やっているのは、妻の絵美を手伝おうと思うからじゃなくて、大人はこういうことやっているから、と思っていました」(アンドレーさん)

「家事とか育児を当たり前にやってくれるのが、すごくありがたかったです。ありがとうと言うと『当たり前だよ』って、いつも返事があって、気が楽でした」(絵美さん)


制度の後押しで、男性の育休取得率が高まったスェーデン。アンドレーさんに、“理想の父親像”を聞いてみると…。 

「別にお父さんだからこうあるべきとか、お母さんだからこうあるべきというのは必要ないと思います。ご飯作ったり家事したり、仕事もするだろうし、子どもと遊んだり寝かしつけしたり、それが理想的なお父さん像だと思います」(アンドレーさん)

「父親だから…」「母親だから…」そう無意識に思ってしまいがちな親としての役割の違い。
アンドレーさんにとっての“理想の父親像”は、“理想の母親像”と同じです。

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