社会保険労務士試験合格を目指す方のための、詳細な合格体験記をお届けします。
アウトプット練習の需要さと良きライバルとスランプを乗り越える力の三つが一発合格の鍵でした。
試験自体は初挑戦で合格しましたが、腹をくくった勉強を始めるまでには
5年という時間と通学講座への「課金」など無駄にしました。
資格ビジネスとは無縁で口コミとも違う合格体験記のキーポイント
「合格体験記」がネット上の講座の合格者の体験記、すなわち宣伝になってしまった現在
2011年版まで毎年のように出版されていたエール出版社の
「合格体験記」は貴重なものだったと思います。
年齢も経歴も違う合格者が独学やそれぞれ違うスクールで通学・通信などを使っての
合格への道のりの詳しく、モチベーションの維持や精神状態まで含めて
3000字も記述していることは今になってみると、貴重なアドバイスに満ちていると言えます。
そこで、私の「エール出版 社会保険労務士 合格体験記 98年度版」を引用しつつ
今に応用できるキーポイントを紹介します。
20年以上の前の勉強方法を参考にならないと思われるでしょうか。
それとも、すでに難関資格といわれ、7.6%の合格率を突破するための普遍性を
読み取っていただけるでしょうか。
見出しやキーポイントだけをお読みいただければ
合格のための普遍的な重要点はご理解いただけます。
気になった場合により深い理解のためにだけ引用部分にお進みください。
なお、教材名や講座名は過去のものです。
良い教材や長く続いている講座はほぼ同じ名称でバージョンアップ版が今も販売、存在していました。
時間とお金の無駄は誰にでもある向上心の試行錯誤
気になった資格についてはネットで調べるだけではなく、
大型書店まで足を運び、実際にテキストや過去問を手に取って読んでみましょう。
これはeラーニングするにせよ、
資格の難易度は実際の問題とそのボリュームの手触りを確かめないとわかりません。
どこにでも「難易度」「合格率」の表記はありますが、
「偏差値」と同じで母集団がバラバラなので当てにならないと私は思います。
自分にとってどの位難しいものか、あるいは易しいものかは自分にしかわかりません。
テキストと過去問の数千円で取得できるものに数万円をかけるのは時間とお金の無駄です。
受験までの長い道のり
わたしが社労士を目指そうと思い始めたのは、5年前、第2子出産後に職場復帰した頃のことです。
30代のうちに社会保障を含めた仕事に関係する法律をきちんと学びたいと思ったからでした。
通信教育で勉強をはじめましたが、試験月の7月は仕事が最も忙しく、試験日に休める保障のないなかで、たった1度課題を出しただけでいつとはなしに、仕事と家事・育児の日常に追われてしまいました。
2度目に受験しようと思ったのは95年末、仕事に行き詰まりを感じ精神的な拠り所を求めて、TACの通学本科生に入学しました。けれども、ほどなく試験日と出張会議が重なることがわかり、やむなく再び断念しました。ほとんど手付かずの96年度版基本テキスト一式が手元に残りました。
忙しさに紛れていた夏まではよかったのですが、その後仕事の先行きに不安がつのり、親族の会社に転職しました。
まず、96年に落ちた簿記2級と行政書士の試験をベネッセの通信教育で97年に再挑戦し、合格することができました。 医療事務は産休中に、簿記3級は独学で取得できましたが、それぞれの資格取得に必要な勉強時間を確保すること、そのための環境を自ら整えることの大切さを知るための試行錯誤の5年間でした
行政書士試験合格発表から7カ月の集中した学習
上級コースには最後まで歯が立たず、基本を落とさないことに注力しました。
社会保険労務士試験の難しさに重箱の隅をつつくような問題の存在があります。
そのことが「上級コース」を設置させたり、参考書の分厚さに反映されていると思います。
100点を目指さずに7割以上の合格ラインを確保すること
その感覚を体得できるかどうかが重要です。
合格の鍵は4月半ばから通学した、
まとめ講義(8回)と答練(択一4回、記述4回)のTAC「実戦パック」でした。
3カ月かけてなんとか10科目の全体像を掴んだ上で臨んだ講義はとても有意義でした。
また、人生で初めて「予習」をしたことも
講義の理解、理解できていないところの把握に役立ちました。
モチベーションの鍵は「成績優秀者の順位表」でした。
37人のクラスで掲載されるメンバーがだんだん固定されていくとともに、
切磋琢磨する関係になりました。
初めてお話ししたのは合格祝賀会で、開業にあたって良き友人となりました。
1月下旬から98年度合格を目指し勉強開始
1月16日の行政書士試験合格発表を待って、TACの通信講座の上級コース「講義パック」資料会員となりました。2年前の基本テキスト一式が手付かずであること、最近の難化傾向、重要条文が網羅されていることを考え、思い切って上級コースを選びました。
10冊の上級テキストと10回の到達度テスト(20問)が順次送付されてきました。しかし、上級コースだけあってテキストの通読に苦しみました。並行して、法改正部分に気を付けながら古い基本テストと過去問を終わらせました。到達度テストは、最初はテキストを見ずにと思いましたが、歯が立たずテキストで調べながら制限時間の2倍以上もかかりましたが、提出期限をペースメーカーにとにかく提出したという感じでした。
4月半ばから週2回の通学コース
4月半ばからは、まとめ講義(8回)と答練(択一4回、記述4回)の「実戦パック」を教室受講し始めました。この通学期間は、最も充実した楽しいものでした。
ところで、どこの受験予備校を選ぶかはとても重要なポイントだと思います。講座案内・テキスト・オプション講座のDMのレイアウトなどを見て、TACのセンスが自分に合うと思いました。TACの中でも合格テクニック重視の先生、実務経験に即した先生、情熱的な先生といろいろなタイプの先生がいます。インターネット上の社労士受験生の掲示板を見ると様々な意見交換が行なわれていますが、それらを参考にしながらもやはり自分で見て、聞いて自分の感覚に合った学校・先生を選ぶことにつきると思います。
私は、とても明るく、わかりやすい、正義感溢れる岡根先生にお世話になりました。
重要項目に絞った「総まとめテキスト」に沿ったテンポの速い講義なので、一言も聞き漏らすまいと集中することができました。
また、そのための予習も「総まとめテキスト」の精読とともに、「合格のツボ」(TAC出版)記述編と択一編を使用して充分に行ないました。
わからなかったところは、どんなことでも積極的に質問しました。大変ていねいに、お答えいただき、独学による勘違いや早飲み込みなど自分の欠点がよくわかりました。
講義2回が終わると、記述式答練、択一式答練と続き、それが4クール行われます。
最初の記述式答練で思いもかけず37人中2番になり、成績優秀者として名前が載ったことが嬉しくその後の励みになりました。
答練の前には、「合格のツボ」の2回目とともに科目の項目ごと編集の過去問集、記述式予想問題集(日本ライセンスセンター)を使用しました。
模試で初めて知る70問を一息に解く難しさ
6月下旬からの模試で惨敗し、7月第一週は過去問を年度ごと解いてみました。
問題自体は、様々なかたちで何回となく解いたものでしたが、
過去5年間分で平均50点しか取れませんでした。
この時から、問題文の間違っている部分を直接書き直し、
すべてを正解肢にする方法を採りました。
また、忘れている肢は蛍光ペンでマークしておきました。
この徹底した「できなかったところを潰す」作戦が功を奏しました。
大スランプ期
8回の答練のうち、6回成績優秀者になれ楽しく勉強することができていましたが、6月下旬の模試が始まると落とし穴が待っていました。全くできないのです。最初の日本マンパワーは「もっとがんばろう圏」、次週のTACは「D判定、努力を要します」 でした。
答練は、膨大な試験範囲を8分割して行われるので、目前の科目を集中的に勉強した結果です。
いざ、択一問題70問を一息に解くことの難しさは想像以上でした。
自信をとりもどすために、7月第一週は過去問を年度ごとに解いてみました。
問題自体は、様々なかたちで何回となく解いたものでしたが、過去5年間分で平均50点しか取れませんでした。この時から、問題文の間違っている部分を直接書き直し、すべてを正解肢にする方法を採りました。
また、忘れている肢は蛍光ペンでマークしておきました。つ
いに、LECの模試は不安のあまり欠席してしまいましたが、自宅で連合会付属社労士教育学院の模試に臨んでみたところ、はじめて合格水準点がとれました。
素直な感じの問題が多く、ここで上級テキストをマスターするという野望を捨て、今までやってきた問題を中心に基礎だけを固めようと腹をくくりました。
横断的学習なくして合格は難しいと痛感
70問ずつ一気に解答する先週の学習から横断的理解の不足、
混乱があると自覚していたので遅まきながら
「横断セミナー」の通信教材(カセット)を申し込みました。
これは、目から鱗が落ちるとはこういうことか、と何度も思い知らされました。
一度、テキストとともに清聴したあとは、 眠る前に毎日聴きました。
試験当日も、試験開始前、休み時間とずっと聴き続けたことは
いたずらな緊張を避けるための特効薬ともなりました。
以前間違えたチェックの入っている所を中心に過去問同様、正解肢に直す作業をしました。
「合格のツボ」択一編は少なくとも4回目に入っているのに、
まだ初めて出会ったという感じのする肢や間違って記憶している肢があるのです。
悔しくて、そうした問題だけを切り取ってクリップでとめました。
情けないことにそれがまた大きな束になりました。
最後の10日間は、早朝一番でクリップの束を少しずつ消化することに専念しました。
直前3週間の追い込み
7月6日に厚生白書のレジュメ、9日に労働白書のレジュメを使った講義をもって通学は終わりました。
この時、70問ずつ解答する先週の学習から横断的理解の不足、混乱があると自覚していたので遅まきながら「横断セミナー」の通信教材(カセット)を申し込みました。
これは、目から鱗が落ちるとはこういうことか、と何度も思い知らされました。
一度、テキストとともに清聴したあとは、島中先生のお声はゆったりとやさしいので 眠る前に毎日聴きました。試験当日も、試験開始前、休み時間とずっと聴き続けたことはいたずらな緊張を避けるための特効薬ともなりました。
一方、残り少ない日数の前半は1日1科目ずつ、「合格のツボ」(記述編・択一編)、到達度テストを「総まとめテキスト」とともに復習しました。この時は、以前間違えたチェックの入っている所を中心に過去問同様、正解肢に直す作業をしました。
「合格のツボ」択一編は少なくとも4回目に入っているのに、まだ初めて出会ったという感じのする肢や間違って記憶している肢があるのです。
悔しくて、そうした問題だけを切り取ってクリップでとめました。
情けないことにそれがまた大きな束になりました。
最後の10日間は、早朝一番でクリップの束を少しずつ消化することと、厚生・労働白書のレジュメの読み込みをしました。
答練や模試の最終復習も正解肢にすることと、蛍光ペンでのチェックをすることにしました。
緊張とスランプを乗り越えるという「受験」の当たり前
予定したことの7割程度しか、勉強できませんでしたが
自分ができる精一杯はやった!という思いで
試験前日最後の勉強を終えた時には、涙ぐむような有り様でした。
今振り替えるとやはり異常な緊張のなかにいたのでしょうか、
当時よく流れていたkiroroの「未来へ」を耳にすると涙が溢れてしまっていました。
合格祝賀会でたくさんの方と初めてお話してみると、
みなさんスランプを経験されていて、
つらかったねー、よくがんばったよねーと喜びを分かち合うことができました。
模試の結果と同時期に届いたTACの学院長からのメッセージ
「もう駄目だと思ったときが一番合格に近付いている時だ」は本当でした。
誰でもがスランプを乗り越えていた
順調に試験を終え、解答速報で採点してみると択一は充分な点がとれていたのですが、厚年2点、社一で「品位」をなぜか「品格」と書き直してしまい2点。
たった1字違いでもう一年かと長い3ヶ月でした。
運良く一回目の受験で合格することができ、合格祝賀会でたくさんの方と初めてお話してみると、みなさんスランプを経験されていて、つらかったねー、よくがんばったよねーと喜びを分かち合うことができました。
模試の結果と同時期に届いたTACの学院長からのメッセージ
「もう駄目だと思ったときが一番合格に近付いている時だ」は本当でした。
先生方、友人、そして家族が社労士になりたいという私の願いを励まし続けてくれたおかげ、と感謝の気持ちで一杯になります。スタートラインにたった今、この気持ちを力に次のステップに踏み出したいと思っています。