ワークライフバランスは古い、テレワークの時代はワークアズライフだという方がいます。
しかし、環境、家族、労務管理、本人の性格が複雑に絡み合い、
快適だという方がいる一方で、
公私の区別が無く疲れる、酷い場合はサービス残業が増えてしまったという現状があります。
あらためてワークライフバランスの観点からより良い仕事と生活のためのポイントをご紹介
改善点を見つけるには、自分の環境を客観的に把握してみることから
「24時間仕事バカ」というコピーの雑誌もあるように、
それで家族も含めた人生の長いスパンで了解されているならそれも素敵な生き方です。
村上龍さん(カンブリア宮殿はファンです)のお仲間は24時間派だけれど、
村上春樹さんの
「人生というハイウエイは追い越し車線だけをひたすら走ることはできない」
という言葉に人生の真実を感じます。
人生100年時代、
24時間仕事バカになり集中する時期も大切だと思いますが
「期間限定」「目標達成まで」をお勧めします。
テレワーク(在宅ワーク、ノマドワーク、ワーケーション)が急に増えたことによって、
通勤時間と疲労が無くなり自分時間が増えて快適になったという方と、
サービス残業が増えた、公私の区別がつかなくて疲れるという両方の実態があります。
快適か否かを決定する要因はいくつもあります。
① 空間 テレワークに最適な環境の有無はパフォーマンスに大きく影響します。
リビングでの長時間作業は心身への悪影響大です。
狭くても専用空間で、椅子だけでも快適なものの用意をお勧めします。
私はコワーキングスペースを利用しています。
② 家族 一人暮らしならば仕事には集中できるでしょうが、
家族がいると難しい面があります。
家族の居場所の確保や時間割など完全に納得できなくとも、
お互いの気持ちを知る上で
話し合いは欠かせません。
在宅ワークでも保育園や学校、学童保育は必須です。
通勤時間が無くなることは大いにありがたいことですが、
親が在宅だから子どももというのは子育て経験のない人の言い分です。
「緊急事態」と「新しい生活・ニューノーマル」を分けて、
長期・短期の対策を職場や友人知人の助けも借りて整えましょう。
③ ソフト面の整備 テレワークを以前から導入していた組織と
急に始めた組織では労務管理上のシステムの整備状況が違います。
窮屈な監視があったり、
時間は野放しで成果主義ゆえにサービス残業など、
テレワーク可能な職種面でも大きな違いはあります。
最適解に近づけるよう、管理職・現場ともに改善しようという
気持ちや風土を率先して作りましょう。
④ 本人の性格による仕事スタイル
わが夫婦が顕著なので例としてご紹介しますと、
私は集中型なので専用スペースや時間もメリハリが必要なタイプです。
夫は正反対で、合間の家事を気分転換に出来、
仕事内容によってはアルコール片手にも可能なタイプ。
自分の得意な、生産性の上がる方法を探して
適したスタイルを目指しましょう。
複合的で、自分だけでは解決のつかないものも多々あります。
ただ、以下に記すようにまずは「マインドセット」が重要だと思います。
「働き方」をアップデートできていない組織がまだまだあるのはなぜか
「ダラダラした働き方こそ日本人に合っているのでは」と、
密かに考える米国帰りのビジネスマンのコラムがありました。
ワーク・ライフ・バランスや「働き方改革」のかけ声がどうもピンとこず、
日本人が働き過ぎだという前提に疑問を持っています。
確かにニューヨークの同僚たちは、
午後六時になるとさっさと職場を引き上げていましたが、
ニューヨーカーは朝が早く、昼食時にゆっくり休むこともありません。
仕事をしながら、サンドイッチをコーヒーで流し込んでいるのです。
一方、日本の昼どきのオフィス街は、
連れ立ってランチに向かうサラリーマンやOLで賑わっています。
(2020年以降、懐かしい風景になってしまいましたが、心象風景としてご理解を)
私も1980年代のバブルへ向かう時代には経験があります。
昼間は電話に会議や打ち合わせに追われ、
自分の仕事に没頭できるのは五時を過ぎてから。
定時に帰る同僚に「今日はどうしたの?早いねー」なんて声をかけてしまい、
夕食を済ませてからおもむろにさて、残業など…。
職場の中には、家に帰っても居場所のなさそうな人もいました。
そうした人に限って、好きで「残業しているわけではない!」などと、
自分の忙しさをアピールするものです。
仕事量は変わっていないのに、
結婚したとたんに定時退社するようになった同僚もいましたっけ。
このような現状では、ダラダラとした働き方が合っている、
あるいは好きなのかと思われてもしかたがありません。
しかし、そのような働き方しか知らない、違う働き方など考えられないのかもしれません。
なぜ、長時間労働になっているのか、そのデメリットについて
あらためて考えてみる必要があるのではないでしょうか。
新しい気付きや発想の転換・創意工夫はどこからうまれるか
不測の事態の時こそ、良い人材が必要です。
良い人材とは、上司の言いなりに
過大な量の仕事を抱えて長時間労働をすることではなく、
新しい気づきや発想の転換、創意工夫により、生産性や利益を上げられる人材です。
では、新しい発想はどこから生まれるのでしょうか。
それには生活を大切にし、
広い視野や豊かな視点を獲得するところにあるのではないでしょうか。
IT企業のスタートトディでは、全社員が六時間勤務です。
労働基準法では六時間までは休憩が義務付けられていないことを利用して
昼休みを廃止して六時間勤務にしています。
「ミーティングの時間は当たり前のように1時間とってたけど、45分にならないかな?」
「朝礼や日報は、本当に必要かな?」
「社内ミーティングの資料はデザインに時間をかけなくても、簡単なメモでも説明できるね。」
と、積極的に業務改善や生産性の向上に努めています。
2,3時間の集中した仕事を二つ三つするとかなりの仕事ができ、
疲労もすることを考えると、なるほど理にかなっていると思います。
3時に退社した社員は今まで働いていたはずの時間を
それぞれ有意義に時間を使っています。
美容院や習い事でリフレッシュする社員。
自己啓発のために通学するなど勉強に取り組む社員。
帰宅して掃除洗濯を済まし、夕食を作ってから
子どもを保育園に迎えに行けるので余裕をもって
子どもに接することができるワーママなど様々です。
ゆっくり食事した後にウィンドウショッピングしながら
昼間の消費行動を観察して仕事のヒントを探す社員など、
企業にとってもコスト以上に有意義なことなのです。
「仕事特性・個人特性と労働時間」調査を活用してセルフチェックしてみよう
「仕事特性・個人特性と労働時間」調査結果(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)は2002年のものですが、今でも思い当たることが多くあるのではないでしょうか。
「対策」を活用して、具体化に役立ててみましょう。
自分の仕事や上司の性質と労働時間の関係を考えると、
①他社・他者との関係性の強さが労働時間を長くすること、
②自らの業務目標の明確さや進め方の裁量度の高さが労働時間を短くすること、
③上司が残業を当然と考えていると労働時間が長くなること、
④上司が個々の部下の業務負担等を考慮していないと労働時間が長くなること
が指摘できる。
仕事に対する自分の意識と労働時間の関係を考えると、
①自らの仕事や役割に対する目標設定の高さ(まじめさ)が労働時間を長くすること、
②自らの仕事の出来に関して自己評価が高いと労働時間が長いこと、
③仕事志向が強いほど労働時間が長いこと
が指摘できる。
その他、管理職に関しては、部下の人数が多いほど労働時間が長いこと、また長時間労働対策の実施の重要性などが指摘できる。
以上の事実発見から、長時間労働対策として重要なこととして次の5点を指摘しておきたい。
①業務目標・役割の明確化、
②会議や打ち合わせの簡素化と裁量度の強化、
③管理職の本来業務であるマネジメント業務の重視、
④まじめな労働者に対するケアと心身の健康管理、
⑤有効な長時間労働対策の実施。